アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

走れ! 学生自作のフォーミュラカー ~神奈川大学 チームKURAFTのものづくり記~

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ものづくりコラム第2回目は、自作レーシングカーの競技会「学生フォーミュラ」に参加している神奈川大学のチームKURAFT(クラフト)の、ものづくりがとても好きな4年生・三浦さんによるコラムです。学生たちが回路設計、実装など行いEV車を稼働させていく過程をのぞいてみませんか。

学生フォーミュラは若手技術者の登竜門

 まず、私の参加している活動について紹介します。学生フォーミュラは、1981年からアメリカで始まった学生の自作によるフォーミュラスタイルのレーシングカーの競技会のことです(英語名Formula SAE®)。今では世界各国で開催されるようになり、日本では自動車技術会主催の「全日本学生フォーミュラ」として2003年から開催。学生で組織されたチームが、1年間でフォーミュラスタイルのレーシングマシンを設計・製作し、その性能と企画力、技術力などを総合的に競い合っています。

 1年間という限られた期間の中で、厳しい安全基準とコスト条件に適合する車両を実現するためには、広い分野にわたる知識と独創性、技術力が求められます。実践的なものづくり体験ができるため、若手技術者育成の場として認められています。

 神奈川大学では、「神奈川大学学生フォーミュラプロジェクトKURAFT」(Kanagawa University Racing Formula Team;クラフト)として2014年から全日本学生フォーミュラ大会にEV(電気自動車)部門で出場しています。

2016年度大会集合写真 写真1. 2016年度大会集合写真

配線担当ではミスの連続

 私は2014年10月からこの活動に参加しています。初めの1年間は配線を担当していました。配線についてはおろかEVのことも何も知らなかったので、先輩やスポンサーの方々のサポートを受けて設計と製作を行いました。当時は発注ミスをはじめ、設計上のミスに気付かずに製作してしまうなど、やればやるほど失敗の連続でした。

 実装した際も、配線の色を変えるという工夫がなかったために、車両で生じたエラー検出がしづらい状況に。また、配線の固定方法が考慮されていなかったため運転しづらい車両となってしまいました。私にとっての初めての大会はこんな感じで慌ただしく終わりました。

トラブルが多かったユニバーサル基板をやめる決意

 2年目からは後輩も増えて大人数のチームでEVを設計・製作することになり、立候補で回路担当者になりました。

 回路に関しては、先輩が残したデータをどう使いやすく改善していくかが大きな課題に。そこで、基板をユニバーサル基板からプリント基板に変更することを考えました。

 ユニバーサル基板では、手作業による配線になるため、配線の断線や信号にノイズが乗ってしまう等のシステム内の異常が度々起きていました。そればかりか修復作業中に他の配線が断線してしまうこともあり、原因究明に多くの時間がかかっていたのです。

2015年度大会に使用されたユニバーサル基板 写真2. 2015年度大会に使用されたユニバーサル基板

技術指導を受けてプリント基板の設計を開始

 プリント基板設計について調べていくうちに、実装するレベルのプリント基板を短期間で設計することが非常に難しいとわかりました。

 そこで、川崎市産業振興財団に技術指導のスポンサー企業を紹介してもらい、その企業の指導のもとでプリント基板設計を開始しました。「自分たちが設計していたシステム図や回路図が実装した際にどのような挙動をするのか」、「コネクタの位置や配線の位置はルールに沿って配線できるのか」、「使用予定の素子に問題はないか」等を話し合いながら基板製造データを作成してもらい、何度もメールで確認してより良いデータへと進めました。

プリント基板設計の様子 写真3. プリント基板設計の様子

P板.comに発注した際は、対応の速さに大慌て

 設計を終えて,いよいよ基板製作です。製作費が安くデータチェックがしっかりしていて、さらに短納期が可能な「P板.com」の存在を知り、問い合わせました。

 面談の機会を得て打ち合わせを行い、P板.comへの依頼を決めました。発注してまもなく確認の連絡があり、とても慌てたのを覚えています。油断していたのではなく、確認事項がかなり細かく、私自身の知識や作業スピードが追い付かなかったからです。「早くお願いしたい」と言っていたのに、後半は私のスピードが追い付かない事態に。それくらいP板.comの対応や手続きが速く、非常にスムーズに製作手続きを行うことができました。

プリント基板導入で、システムエラーが断然減少

 そして、依頼した基板がいよいよ届き、素子を実装してみると… 設計段階であったはずの素子がなかったり、設計段階での連絡の行き違いで変更したはずの素子が変更前のままであったりと、やはりミスがいくつか出てしまいました。

 ですが、当方の発注ミス以外はP板.comで確認してもらった通りに出来上がっていました。実装してみて動作も確認しましたが、配線ミスやノイズの影響によるシステムエラーは去年と比べて断然減りました。

プリント基板へ素子を実装した際の様子 写真4. プリント基板へ素子を実装した際の様子

2017年の学生フォーミュラではさらに飛躍

 結果的に2016年(第14回)大会の車両の基板については、断線の心配もなくノイズ等の影響を受けにくいシステムを製作できたと思います。P板.comはじめ多くのスポンサーのおかげで、4年目の車両は月に1度のペースで走行テストを行って車両のデータを取る等調整を行っています。

 2017年(第15回)大会の車両は今年のミスから得た反省を生かし、そして何より2017年こそプリント基板の設計・製作を自分たちの手で行っていければ!と思います。

 私自身としては、後輩たちが主体となって設計・製作を行った車両が大会本番で走れるように先輩として少しでもサポートできればと思っています。

KURAFTメンバー 写真5. KURAFTメンバー

 今後もスポンサー募集中ですので、KURAFTをどうぞよろしくお願いします!

KURAFTロゴ


神奈川大学
学生フォーミュラプロジェクト KURAFT 4年 三浦遥夏
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