アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

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論理設計からCADを利用して基板設計へ

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部品の形状や部品の内部構成を考えない論理設計だけでは、基板を設計することはできません。「論理設計」を「物理設計」に変換することはもちろん、伝送線路解析やフロアプランニングを施す必要があります。

論理設計と物理設計を関連付ける

 通常、回路図は論理情報で入力されています。もともと回路設計者は、論理を考えて回路を組むのであり、「IC1の5番ピンとIC3の10番ピンを接続する」といった基板設計向きの接続情報では、論理設計はできません。また、多くの場合、部品のパッケージにもあまり注意を払っていません。例えば、終端抵抗の値は33Ωなのか、47Ωがよいのかは問題となりますが、部品が1005なのか1608なのか、3216なのかはあまり気にしません。

 ところが、部品調達や基板設計の段階になると、部品のパッケージ情報がないと全く作業にならないのです。1005と1608、3216では部品の大きさが異なるので、部品はどれを選んでもよい、では基板設計はできません。そもそもどの部品を調達すればよいのかが分かりません。

 そこで、論理情報から、物理情報に変換することが必要となります。具体的には、回路図入力システムや回路シミュレータ、論理シミュレータなどの論理的な回路図から、レイアウト設計のための物理的な接続情報への情報の変換です(図1)。

01_論理回路と基板レイアウトでは部品の見方が違う 図1. 論理回路と基板レイアウトでは部品の見方が違う

 部品の中には、パッケージ抵抗のように1つのパッケージに複数の回路が入っていて、パッケージ内のどの回路を使用しても論理的には違いがないものもあります(図2)。

02_論理設計から物理設計へ 図2. 論理設計から物理設計へ

 論理とパッケージの関係性の定義も必要となります。その場合、回路図入力用のシンボルにプロパティとしてマッピング情報を付加するなどして定義します。

 例えば「Allegro」では、「パッケージライブラリ作成」で最後に作成したデバイスファイルが、この論理情報と物理情報を関連付けるためのファイルとなります。このマッピング情報を使って、回路図入力システムで入力する、あるいは論理シミュレータで使用するための論理記述の回路から、基板レイアウトCAD用の接続情報や、部品手配のための手配データを作成します(図3)。

03_マッピング情報 図3. マッピング情報  
 

「フロアプランニング」で効率的に

 基板上の信号が高速になり、部品の実装密度が高くなるにしたがって、基板のレイアウト設計は非常に難しくなってきました。

 特に高速信号では、配線を伝送線路と考えて設計する必要があります。伝送線路では、配線の長さや引き回し、特性インピーダンスや終端などを考慮して配線設計します。というよりも、この条件に従ったレイアウトをしなければ、全ての信号を配線しても回路は動作しないといった方がよいでしょう。

 論理設計者が回路図を描き接続情報を作成するときは、これら伝送線路の特性を考慮し、レイアウト設計に対して条件を付加します。

 場合によっては、専門の伝送線路技術者が論理回路設計者とレイアウト設計者の間に立って、配線設計上の注意点を規則化してレイアウト設計者に伝えることもあります。

 これらは、論理設計の段階で一般的な配線規則として基板設計者に伝えるほか、基板設計の初期段階で主要部品をおおまかに配置し、高速信号バスやクロック信号など実際の引き回しや配線長を使った伝送線路シミュレーションを実施します。このシミュレーション結果を基に配線や部品に制約条件を付加すると、以後の設計でのミスを防ぐことができます。

 このように、実際のレイアウト設計の初期段階で、部品配置や制約条件の検討をすることを「フロアプランニング」と呼びます。このフロアプランニングは、大規模な高速高密度基板設計には大変有効な設計手法となっています。  
 

制約条件(コンストレイン)を適用

 設計上の注意は、言葉で抽象的に伝えるのではなく、設計規則化して厳密に伝えます。このような設計規則を「制約条件(コンストレイン)」と呼びます(図4)。CADはこの規則に従って設計し、規則に違反していないことをDRC(Design Rule Check)レポートとして、出力する機能を備えています。

04_制約条件(コンストレイン)の設定 図4. 制約条件(コンストレイン)の設定

 この制約条件には、配線の長さ指定や等長配線、平行配線など、似たようなものがあります。その上、CADごとに定義、記述の方法も異なります。CADによって、必要な制約条件をサポートしていたり、していなかったりと、機能の違いもあります。CADによって、それぞれ独自の制約条件機能があるほか、次々と新しいものも付加されています。

 制約条件は回路入力システムに部品や信号のプロパティとして付加することが一般的ですが、プロパティの書き方や名前など、正しくCADに制約条件を伝えるのは簡単ではありません(図5)。

05_複雑な制約条件 図5. 複雑な制約条件

 さらに、必要な制約条件をCADがサポートしていない場合は、「どのような制約条件を組み合わせて、設計に必要な制約を実現すればよいのか」という検討も必要となります。

 回路入力とCADが同一システムの場合には、制約条件設定専用のツールを使うと制約条件の受け渡しがスムーズになります。最近では、スプレッドシートの表形式で制約条件を定義して受け渡しすると分かりやすく便利なため、よく使われています(図6)。

06_スプレッドシートの表形式で制約条件を表す 図6. スプレッドシートの表形式で制約条件を表す

 ただ、回路図入力とレイアウトCADが異なるシステム間では制約条件が異なったり、受け渡しの方法が違ったりしていて、制約条件の受け渡しはなかなか困難です。

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実践プリント配線板設計 本記事は、「Allegroで学ぶ実践プリント配線板設計」(発行元:株式会社ジー・ビー)から一部転載しています。