アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

基本構造(カバーレイ)

%e8%a8%98%e4%ba%8b%e3%82%b5%e3%83%a0%e3%83%8d%e3%82%a4%e3%83%ab01 %e3%83%95%e3%83%ac%e3%82%ad %e5%9f%ba%e6%9c%ac%e6%a7%8b%e9%80%a0%ef%bc%88%e3%82%ab%e3%83%90%e3%83%bc%e3%83%ac%e3%82%a4%ef%bc%89

リジッド基板のソルダマスクの様に、フレキシブル基板にも回路を保護する素材があります。それらはカバーレイと呼ばれてます。カバーレイの役割や保護タイプ、注意点について触れていきます。

多様なカバーレイ

 リジッド基板では、回路表面にソルダマスクをかけますが、フレキシブル基板の場合にも同じように回路の保護が必要です。また、用途によって色々なタイプの保護を使い分けします。これらをまとめてカバーレイと呼んでいます。カバーレイには、回路を電気的、機械的、化学的、熱的に保護するという役割を担っています。一方で、回路の電気的な接続を確保するために、微細な窓開けを行うことが求められます。

印刷カバーレイ

 リジッド基板のソルダマスクと同じように、インク状の保護材料を回路の上にスクリーン印刷します。相対的にコストが低いので、廉価品のフレキシブル基板用によく使われます(図1)。一般的にリジッド用のインクは硬いので、そのままフレキシブル基板に使ったのでは、ちょっと曲げただけでひび割れが生じ、さらには剥離してしまうこともあります。フレキシブル基板用に柔らかい樹脂をベースに調整した材料を選択しなければなりません。印刷カバーレイは、繰り返し屈曲するような用途には使えません。窓開けの加工能力は、0.2〜0.3mmぐらいが限界です。

印刷カバーレイ 図1. 印刷カバーレイ

フィルムカバーレイ

 繰り返し屈曲するような用途や、機械的に高い強度を必要とするような用途には、ベースフィルムと同じようなフィルムを使って導体表面を保護するようにします(図2)。フィルムカバーレイを効果的に使うには、フィルムや接着剤の選択、また、プロセスの条件設定をきめ細かく管理しなければなりません。一方で、微細加工が難しい、プロセスの自動化が難しいなどの短所があり、かなりのコストアップ要因になります。窓穴の微細加工は、0.5mmぐらいが限度です。

フィルムカバーレイ 図2. フィルムカバーレイ

感光性カバーレイ

 フィルムカバーレイ並みの特性を持ちながら、窓開けの微細加工を実現しようとするのが感光性カバーレイで、フィルム状のものと、インク状のものが実用化されています。窓開け加工はフォトリソグラフィのプロセスで処理されるので、100μm未満の窓穴を開けることが可能です。残念ながら、フィルムカバーレイと同等の性能を持った感光性カバーレイ材料はまだ実現していません。

< 前の記事 記事一覧 次の記事 >