基本構造(ビアホール)
回路の層数が二つ以上になると、導体層の間を電気的に接続する必要があります。その接続に使用するホールをビアホールと言います。フレキシブル基板の場合は、ビアホールの構成がリジッド基板とは微妙に違っています。また、加工プロセスも異なっています。
銅めっきは薄めに
図1に示されたように、両面フレキシブル基板のビアホール構造は、一見リジッド基板と似ています。問題は、ビアホール形成プロセスでめっきされる銅が、銅張積層板の銅箔に比べて硬くて脆いことです。そのため、銅めっきが厚くなると、回路全体が硬くなり、曲げ応力に対して破断しやすくなります。これを防ぐために、銅めっきの厚さをできるだけ薄くします。しかし、あまり薄くすると、接続信頼性が低くなってしまいますから、ちょうど良いところでバランスさせることが必要です。
図1. 両面回路のビアホール構造
ブラインド・ビアホール
フレキシブル基板の特殊なビアホールが、ブラインド・ビアホールです(図2)。両面回路でもビアホールに穴が開いていません。このため、ランドスペースを小さく抑えることができ、基板の表面を有効に使うことができます。このようなビアホールでは、機械的なNCドリルを使うことができないので、レーザーによるドリリング、もしくは化学エッチング法が使われます。
図2. フレキシブル基板のブラインドビアホール断面構造
多層貫通ビアホール
最終的には、多層フレックスや多層リジッド・フレックスでも貫通ビアホールが必要になります(図3)。構成は、多層リジッド基板に似ていますが、細かい構造や加工プロセスでは微妙に違っています。特に高い信頼性が必要とされる場合には、エッチバック法と呼ばれる穴の側壁から非金属部を一定の深さで除去する手法を用いて、内層の回路とビアホールとの接触面積を大きくします。
図3. 多層フレキシブル基板の貫通ビア構造
屈曲部へのビアホールは避ける
どんなにビアホールの構造に配慮しても、フレキシブル基板を曲げれば、ビアホールには機械的な応力がかかることになります。どの程度の屈曲までならば大丈夫かという基準を作るのは難しいので、基本的には屈曲部やその近傍にはビアホールを設けません。
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