アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

Logo edc59a59ec3242213bcfbc35b96a28341294daa03aeacc13ba84afd442c1b2ba

接続情報と部品情報は「両輪の輪」

%e3%82%b5%e3%83%a0%e3%83%8d%e3%82%a4%e3%83%ab cad%e3%83%9e%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc %e6%8e%a5%e7%b6%9a%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%81%a8%e9%83%a8%e5%93%81%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%81%af%e4%b8%a1%e8%bc%aa%e3%81%ae%e8%bc%aa

CADを用いた配置配線設計に必要不可欠なのが、接続情報と部品情報です。回路図入力システムから接続情報(論理的接続情報と物理的接続情報)を得て、パッケージ情報などを含む部品情報に基づいて基板を設計していく、という点についてご説明します。

接続情報

 CADにとって接続情報は、部品の配置や配線設計をするための基本情報です。CADはこの配線情報に従って配線設計を行い、配線の間違いや未配線が残っていないかチェックを行います。つまり、CADが間違いのない接続情報を持っていてこそ、正しい基板設計ができます。

 間違いのない接続情報を作成するためには、論理シミュレーションを行います。一般に、論理回路や電子回路の開発には回路図を描きますが、論理シミュレーションを使う場合でも、大きな回路の流れは図面を使った方がわかりやすくなります。

 このため、大部分のCADシステムでは専用の「回路図入力システム」を持っています。回路図入力システムと論理シミュレータ、基板設計CADが同じベンダーの同じシステムで構築されている場合、作成した回路図は論理シミュレータにもCADシステムにも使用できます。同一システムで三者を構成した場合、回路図の接続情報がそれぞれのシステム間で読み込まれるのでとてもスムーズです(図1)。

回路図入力、シミュレータとCADの関係 図1. 回路図入力、シミュレータとCADの関係

 しかし、常に回路図入力と基板設計CADが同一のシステム内にあるとは限りません。回路設計と論理シミュレータ、レイアウト設計が異なる場所、異なる会社で行われることや、シミュレータの機能の問題で回路設計とレイアウト設計に異なるシステムを使うことはよくあります。

 このような場合は、各システム間での接続情報の受け渡しはテキストファイル形式の中間ファイルを使って行います。回路図入力システムは、各社のCADフォーマットに従った接続情報をテキストファイル形式で出力できますので、各システム間での接続情報の受け渡しは容易です。

 なお、一部のEDAベンダーでは相互契約をすることで、異なる会社間で回路図入力システムの接続情報がCADに入力できるようにしている場合もあります。

論理記述と物理記述の違いとは

 論理シミュレータでは、VerilogやHDLといった標準化された論理記述フォーマットや、C言語などを使った論理記述が使われます。

 回路図や論理記述では、素子は「論理的な素子」です。一方、基板設計のためには「物理的な素子」の情報が必要です。具体例を挙げると、1つのICに複数の論理ブロックが含まれている場合、回路図や論理シミュレータでは論理ブロックごとに回路を記述しますが、物理的な設計をする基板設計CADでは、1つのIC単位で部品を扱い設計をします(図2)。

回路図には論理記述と物理記述がある 図2. 回路図には論理記述と物理記述がある

 このため、回路図から基板設計CADの接続情報を作るためには、論理情報と物理情報の間の関係の定義が必要です。

ネットリストを使う場合もある

 基板の種類によっては、回路図や論理シミュレータを使わない場合があります。例えば、バックプレーンやコネクタシステム、テストアダプタなど接続が規則的な基板では、回路図ではなくスプレッドシートのような表形式で接続情報を作成したほうが、間違いなく簡単にできることもあります。

 このような場合は、「ネットリスト」と呼ばれるテキスト形式の配線情報ファイルやスプレッドシートによる接続情報を基板設計CADに読み込んで、基板設計CADの接続情報を作成できるようになっています(図3)。

ネットリストの一例 図3. ネットリストの一例

 また、配線数の少ない簡単な基板やパッケージなど、どのピンからどのピンへ接続するかがレイアウト設計の都合で決まるような場合、接続情報がなかったり、不完全なままで設計し、CADから実際に配線をした接続情報を出力する場合も「ネットリスト」を使用します。

部品情報

 接続情報とともに、部品情報がなければ、CADでのレイアウト設計はできません。

 回路図上では同じ部品でも、実際の部品としては違うものも多々存在します。

 例えば、回路図では終端抵抗として「50Ω 1/4Wの抵抗」と記述されていても、実際の部品としては1005タイプのチップ部品、1206タイプのチップ部品など、さまざまな大きさがあります。SIPやDIPタイプの集積抵抗もあります。しかも面実装タイプか挿入タイプか、どのメーカーかなど、パッケージに関する詳細な定義がないと、実際の基板を作ることはできません(図4)。

同じ部品でもフローとリフローのはんだ方法によって形状が異なる 出典:村田製作所 図4. 同じ部品でもフローとリフローのはんだ方法によって形状が異なる 出典:村田製作所

 これはICについても同じです。汎用ICでもASICでも、電気特性やレイアウト設計を考慮して、ピッチの異なるBGAやQFPなど複数のパッケージが用意されているものは少なくありません。そうなると、パッケージが異なるとピン配置やピン番号も異なります。

 ICのピン数やピン配列、ピン番号が異なれば、当然、配線情報も異なってしまいます。

部品の型番では管理しにくい

 一般に、部品メーカーの番号の型名には、パッケージ情報が付加されているものの、このような型名は桁数が多くわかりにくいものです。さらに、異なる部品メーカーから同じ部品番号の製品が出されていることもあります。このような混乱を避けるため、あるいは部品調達システム、社内管理システムとの連携等にもつなげるため、多くの企業では部品メーカーの部品番号だけではなく、部品に対して独自に社内管理用の名称を付けて使っています。

 このような企業では、社内の部品番号に基づいたライブラリ管理システムを使って、これらの名前や情報を調達から製造まで一元管理します。このため、回路図入力やCADシステムの部品には、部品番号や管理番号、その他多くの付加情報を入力する必要があるのです。

 回路図入力システムのシンボルライブラリでは、部品の型番やパッケージ名、メーカー名などの項目をプロパティとして付加できます。回路図入力では、素子に基板設計CADで使う物理的なパッケージ名が付加されている必要があります。

 抵抗など複数のパッケージがあり、レイアウトに応じてどのパッケージを使うかをそのつど決定します。回路図入力の段階ではまだパッケージが決まっていない場合もあります。レイアウトの都合で同じ部品でありながら、一部だけ異なるパッケージを使う場合もあります。

 このような問題を解決するために、1つの回路図シンボルに対して、複数のパッケージを定義しておき、レイアウト設計時に複数の候補パッケージから、都合の良いパッケージを選ぶことができるような機能も珍しくありません(図5)。

回路図入力ライブラリのプロパティ画面(Allegro Design Entry) 図5. 回路図入力ライブラリのプロパティ画面(Allegro Design Entry)

 この場合、当然使用する部品は異なりますから、部品調達システムに対して、どのパッケージ部品を使用したかの情報を受け渡す必要があります。

 このように、回路図入力システムと基板設計CADの間では、単純な接続情報だけではなく、多くの部品情報の受け渡しも必要です。

 システムによっては、回路図入力と基板設計CAD間で、情報を受け渡しするプロパティ名が決められているものもあります。

< 前の記事 記事一覧 次の記事 >

実践プリント配線板設計 本記事は、「Allegroで学ぶ実践プリント配線板設計」(発行元:株式会社ジー・ビー)から一部転載しています。