アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

シルク印刷(その1) ―― 美しいシルクの書き方1

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プリント基板に部品の番号や外形を記すシルク印刷。“美しいシルク印刷”のためのコツを紹介しましょう。第1回は、部品のリファレンス番号とピン番号を見やすくする方法についてまとめています。

シルク印刷

 シルク印刷は基板上の部品と回路図の部品番号を関連付ける大切な情報です。

 「基板の動作試験や波形観測」、「部品実装」、「実装確認」、「部品故障時のメンテナンス」など多くの場面で必要とされます。

 シルクでは次に挙げる情報などを印刷します。

  • 部品番号
  • 部品形状(部品占有領域)
  • 極性、ピン番号
  • 信号測定情報
  • 会社のロゴ、基板番号とバージョン、規格認定マークなど

 

回路図と基板レイアウトで部品番号の一致

 回路設計で回路図を書くとき、回路図で書く順番に部品番号を付けていきます。

 しかし、基板を設計する時には基板の配線が短く、交差しないように最適な部品配置を行います。このため、基板上の部品番号は、回路図のように整理されておらず、不規則な順番になってしまいます。

 このままでは、どの部品が基板のどこに配置されているかが非常に分かりにくくなってしまいます。部品の実装や、実測確認に時間がかかり、ミスも起こりやすくなります。

 ですので、CADで基板設計が終わった時に、部品が配置されている順番に部品番号を振り直します。振り直すと、回路図の部品番号と食い違いが起こりますので、CADで振り直したように回路図の部品番号も変更します。

 このCADで振り直した部品番号を回路図にフィードバックすることをバックアノテーションといいます。ちなみに、多くの回路図入力システムとCADは連携していて、バックアノテーションが自動的に行われるようになっています。

 これで、基板上の部品番号が分かりやすい順番になり、実装や、実装確認が楽になりました。また、信号の測定や部品のリペアも効率的に行えるでしょう。 バックアノテーションのイメージ 図.バックアノテーションのイメージ

 

部品番号シルクの整理

 では、部品番号などのシルクをどのように記載すれば良いか、もう少し詳しく見ていきましょう。

 部品番号は「どの部品がどの部品番号か」を間違えずに判断できるように、シルク文字で記す必要があります。超小型のチップ部品が並んでいるような場合、部品よりも文字の方が大きくなりがちで、シルク文字をうまく付けられないことがあります。

 シルク文字が重なって文字が読めなくならないように、文字の大きさを考えるなど、いろいろな工夫をしなければなりません。

 部品番号は全ての部品に付けなくても構いません。部品が番号順に並んでいる場合、幾つかの部品にシルクで部品番号を付ければ、途中の部品はシルクがなくても部品番号は推測できます。

 パスコンのように極性がなく、部品の配置を入れ替えても影響のない部品では、一塊にして部品番号をシルク印刷すれば十分です。

 必要に応じてシルク文字を横方向や縦方向に方向を変えると部品とシルクの関係がはっきりします。しかし、文字の向きが4方向や8方向などバラバラだとシルクが読みにくいので、文字の方向は0°と90°の2方向だけにそろえます。

 また、実装された部品の下に書かれたシルクは見ることができません。このため、部品の形や実装位置を示す部品外形シルクは部品よりも少し大きめに作成します。極性のある部品やICには外形シルクに配置方向が分かるように極性マークを付けます。

 

良い部品番号の記載方法

 部品番号がそれぞれ重複しないよう記載されているので、どちらに部品が付くか明確に判断できます。 良い部品番号の記載方法1 図.良い部品番号の記載方法1

 部品配置箇所とシルクとの間がきちんと線でつながっているため、R25の実装位置が一目で判別できます。実装密度が高いとシルクを表記する箇所が限られてしまうので、線がなかった場合には、R23の実装と誤記されてしまう危険性が高くなります。 良い部品番号の記載方法2 図.良い部品番号の記載方法2

 図の左上と右下の2カ所に「丸で囲んだ“A”」という表記があります。これは、部品が高密度に配置されているために、本来実装する位置に、シルク表記できず、空いているスペースに配置番号を記したものです。こういった方法も問題はありません。 良い部品番号の記載方法3 図.良い部品番号の記載方法3

 

部品の1pinを示すマークの書き方

 部品の実装向きを決めるための便宜上の目安である1pin。さまざまなシルクの書き方で表現できます。

 下図左の部品U1の左下に○印があり、シルクの角が欠けています。「○印」「角が欠けている」はいずれも部品の1pinを示すものです。どちらか一方だけの表記でも問題はありません。図A右の部品Q1の右下の角に斜線が入っています。これも1pinを示すマークです。 1pinマークの記載方法例1 図.1pinマークの記載方法例1

 これ以外にも、次のような1pinを示すマークの記載方法があります。 1pinマークの記載方法例2 図.1pinマークの記載方法例2

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