シルク印刷(その1) ―― 美しいシルクの書き方2
プリント基板に部品の番号や外形を記すシルク印刷。“美しいシルク印刷”のためのコツを紹介しましょう。第2回は、シルクの表記箇所についてまとめております。
シルクのカット
ハンダ付け端子部にシルクが書かれていたら、ハンダ付けができないため、シルクはレジストマスクの上にしか印刷できません。もし、CADで設計されたシルクがレジストのないところにあっても、基板製造時にシルクは削除されます。 図.シルクカット
ビアの部分のシルクがカットされているケース。文字の場合、一部でも欠けると判読しにくくなります
このため、シルク文字はレジストのない部分にかからないようにしなければなりません。
ただ部品外形シルクなどは、重要な情報以外はピンやレジストのない所に一部がかかって削除されても、全体として部品の外形や形状が分かる程度であれば問題はありません。
ピン番号
コネクタやICには、シルクでピン番号を付けます。部品のピン番号は連続しているので、全てのピンに番号を付けるのではなく、要所、要所のピン番号だけを付けるようにすれば、シルクが少なく、すっきりして、かえって分かりやすくなります。
BGAやPGAなどアレイ(格子)状のピンの場合、行文字と列番号の組み合わせでピン番号が付けられているので、シルクも行文字と列番号だけを付ければ十分です。
測定端子、スイッチ
回路の動作チェックや、不具合箇所の確認のため、信号波形や電圧を観測するためのテストポイントを基板上に作成しておくと便利です。
テストポイントはレジストがなく測定器のピンやプローブがアクセスできるようにしておきます。テストポイントとして、ICピンや部品端子などを使うこともできますが、電源やグランド、クロックなどはテスト用の部品を付けておくと測定が楽になります。このような測定端子には、シルクで端子名や信号名を付けておくと間違いがなく、測定が楽になります。 図.測定端子部のシルク例
ジャンパー端子やDIPスイッチなどで、機能を変更できるような場合は、スイッチの設定や切り替える機能をシルクで分かりやすく表示します。LEDなどのインジケーターもシルクで表示の意味を明記しておきます。
高速信号とシルク
シルク印刷に使用するインクは誘電体で、印刷もレジストより厚くなります。このため、高速信号の表面配線では、シルク印刷の有無で、特性が多少変化します。一般に、文字や部品外形の一部が配線にかかる程度では問題はありませんが、1GHz以上の高速差動配線で、2本ある配線の片方の上だけに長い区間、シルクが掛かるようなことは避けてください。
ロゴ、規格認定マークその他
基板上に会社のロゴやUL認定などの規格認定マークを付けることを要求される場合もありますし、基板名称や基板番号をシルクで付加する場合も多いでしょう。
何回か基板の改版をするような場合には、基板のバージョン番号を付けて区別させることができます。
基板の回路ブロック名とブロック境界線や信号名など必要な情報をシルクで基板に印刷しておくと便利な場合もあります。 図.基板名やバージョンを記したシルクの例
部品の極性を示す
下図の部品はコンデンサです。下側に+マークがあります。これは、見ての通り、プラスの極性となります。上側の黒帯は、マイナスの極性を示しています。 図.コンデンサの極性例
下図で、“本”の字をひっくり返したようなマークがあります。これはダイオードのマークで、極性を示しています。図1では「上から下に電気は流れるが、下から上には流れない」という意味になります。 図.ダイオードの極性例1
その他にも、枠の中に「ダイオードの回路記号」があります。これは実装の向きに使われます。ダイオードは主にA(アノード)、K(カソード)で表記されますが、Cでカソードを表記する場合もあります。図4のようにカソード側のシルク枠を他よりも太線で表記する場合もあります。なお、タンタルコンデンサも同じように太線で示すことがありますが、タンタルコンデンサの場合は、太線がプラスの極性を示すため、見間違わないように注意が必要です。 図.その他の極性例
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