アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

超微細多層回路フレキシブル基板

Title %e8%b6%85%e5%be%ae%e7%b4%b0%e5%a4%9a%e5%b1%a4%e5%9b%9e%e8%b7%af%e3%83%95%e3%83%ac%e3%82%ad%e3%82%b7%e3%83%96%e3%83%ab%e5%9f%ba%e6%9d%bf

技術は日進月歩進んでいます。最新のフレキシブル基板仕様とその使用用途をご説明します。

超微細多層回路フレキシブル基板

 プリント基板の高密度化、微細化は定常的に進んでいますが、フレキシブル基板も例外ではありません。ディスプレイパネルのドライバモジュールのサブストレート用にはピッチ20μmの高密度フレキシブル基板が量産されていますし、特殊な医療用デバイスには10μmピッチの多層フレキシブル基板が使われています。層間を繋ぐビアホールの大きさは20μm未満です(図)。技術的には、5μmピッチで6層ぐらいまでの回路の製作が可能になっています。

10μmピッチの多層フレキシブル基板 図. 10μmピッチの多層フレキシブル基板

セミアディティブプロセスが有力

 通常のエッチングプロセスで形成できる微細回路の限界は20〜25μmピッチといわれています。より高密度の超微細回路の多層回路フレキシブル基板の製作には、セミアディティブプロセスが使われています。標準的な銅張積層板では対応できないので、ポリイミドフィルムが出発材料になります。場合によっては、フィルムの形成(キャスティング)から始めることになります。多層回路の形成には、キャスティング、メタライジング、フォトリソグラフィ、エッチングなどのプロセス(※)を何度も繰り返します。これにレーザー加工のプロセスが加わることもあります。これくらいの微細回路の製作を行うとなると、寸法精度の管理、不純物の混入の制御も厳しく行わなければならないので、製造設備は半導体製造装置に準じたものになります。
※各プロセスについては、別記事でご説明します。

高アスペクト比の導体も可能に

 通常のエッチングプロセスで微細回路を形成するには、導体の厚さを薄くしなければなりません。現実的なアスペクト比(回路幅:回路厚さ)は1:1ぐらいが限度です。しかし、セミアディティブを適用すれば、アスペクト比を3:1以上にすることも可能です(図)。このような特殊構造の回路は、医療用デバイス、科学機器などで使われるようになっています。

高アスペクト比のフレキシブル基板 図. 高アスペクト比のフレキシブル基板