マニュアル配線は、配置が難しい引き出し配線や、バイパスコンデンサの配線、高速信号などを扱うクリティカル配線です。配線長をなるべく抑える工夫が必要な場合にも、マニュアル配線に強みがあります。
部品の自動配線機能は、自動配置機能よりも役に立ちます。マニュアル配線でも自動配線でも、目的の作業に適したCADを選ぶことで設計を効率化できます。自動配線を使いこなすには、配線パターンのコントロールパラメータを吟味しなければなりません。
配線設計の前提になるのがビアです。多岐にわたるビアのうち、どれを選択できるのか、どれを採用するのかを決めないと、配線設計が進みません。また実際の配線設計では、5種類の配線を順に進めていきます。最も優先度が高いのは制約信号配線です。
部品配置の検討では、終端抵抗のレイアウトが勘所です。終端抵抗はバイパスコンデンサと並んで回路の性能を左右する重要な部品です。部品配置がある程度進んだ段階では、配線密度の確認はもちろん、配置や配線に関するさまざまな制約条件を満たしているかどうか、検討を繰り返します。
部品配置の際、CADが備える自動部品配置機能に頼り切ることはできません。回路図を参照しながら進める手動配置が基本です。バイパスコンデンサなど、そもそも自動処理ができない部品もあります。
ピン数の多いLSIを複数接続する際によく用いるバス配線は、比較的大きな面積を必要とします。そのため、配置層やLSIの向きなどを工夫してバス配線の交差やねじれを解消しつつ、他の信号線より優先して配置・配線をすることも少なくありません。中でも高速バスは、配線を同一層内に収めつつ等長配線が求められるなど、厳しい制約があります。
フレキシブル基板を製作するには、多くの材料を組み合わせます。求める機能によっても、組み合わせ方も多種多様です。本稿では、各材料について説明します。
1 積層基板(その1)――よりいっそう、“層”の役割を理解する
2 ビア(その1)――単なる穴だと、あなどるな! (2/2)
3 積層基板(その2)――レジン、ガラスクロスなど素材の微妙な違いで変わる特性
4 配線の幅(その1)――配線パターンを作る2つの手法
5 基本構造(カバーレイ)
6 回路図入力とネットリスト
7 配線の幅(その2)――配線の種類によって3種類の設計を使い分ける