基本構造(片面回路)
フレキシブル基板の設計でもっとも単純な構成の回路が片面回路です。導体層が一つしかありませんが、フレキシブル基板の設計を行うに際しての基本ですので、よく理解しておく必要があります。
フレキシブル基板の片面回路
もっとも単純な構成の回路が片面回路で、導体層が一つしかありません。ベース材料の片側にだけに導体回路が載っています。しかしながら、フレキシブル基板の設計を行うに際しての基本になりますから、よく理解しておく必要があります。別の理由で両面回路や多層回路構成にしなければならない場合でも、部分的に片面構造にすることができます(例えば、部品実装と、屈曲部を併せ持つ回路のような場合)。
もっとも単純で安価な片面回路
下図の左配線のように、回路が互いにクロスしなければ、片面回路だけで配線することができます。逆に、右のように示した回路では、線がクロスしていると単純な片面回路だけでは配線しきれず、両面かそれ以上の多層回路が必要になります。 図.片面回路で配線可能な回路と不可能な回路
しかし、フレキシブル基板が使われる回路としては、多心ケーブルの置き換えになる用途がたくさんあります。このような回路は、単純な平行回路に置き換えられることが多く、片面のフレキシブル基板が活躍する場面が少なくありません。
当然のことですが、単位面積当たりの価格は、単純な片面回路もっとも安くなります。一方で、片面回路では、端末部に補強板をつけるなどして、構造が複雑になり、結果的に単価が高くなってしまうことが少なくありません(下図)。 図.片面フレキシブル基板の基本構成例
もっとも薄くて柔らかにできる片面回路
片面回路の層構成は少ないので、全体の厚さを薄くできます。薄くなれば柔らかになります。標準的な材料でも、全体の厚さを30μm未満にすることは十分可能です。ただし、極端に薄い回路は、機械的強度が低くなるので、取り扱いは大変です(シワやキズがつきやすいのです)。
もっとも屈曲寿命が長い片面回路
フレキシブル基板の大きな特徴の一つは屈曲できることですが、もっとも耐屈曲性が高いのが、片面回路の層構成です。材料もそれに合ったものを選ぶ必要がありますが、1億回を越える耐屈曲性を持たせることが可能です。フレキシブル基板の耐屈曲性を高めるには、回路の断面構造が、導体を真ん中にして対称にするようにしなければなりません。この対称構造を片面回路以外の構成で実現するのは、かなり難しいのです(屈曲部の設計)。
プリンターやディスクドライブの屈曲部には長い屈曲寿命が要求されるので、片面回路構成のフレキシブル基板が使われています。
< 前の記事 | 記事一覧 | 次の記事 > |
---|