フレキシブル基板の設計手順
硬質(リジッド)基板に比べて、フレキシブル基板の設計は、形状や構造に配慮しなければならない点が少なくありません。特に接続部、部品実装部、ケーブル部は、構造が大幅に違ってくる可能性があります。したがって、設計の手順も以下に示すように微妙に違っています。
外形形状、接続部の設計
一般的にフレキシブル基板にはケーブル機能があるので、まずその位置関係と接続方法などを決めます。もし部品を実装するのであれば、その位置と形状も決めます。搭載する部品と、配線の数が決まれば、ケーブル部の形もだいたい決まってきます。次に、実装したフレキシブル基板が、ハウジングに納まるように微調整します。
配線の設計
接続部の端子配列、部品搭載部の構成から、配線を決めます。この時、回路が片面で良いのか、両面構成、さらには多層が必要かの判断をします。両面以上であれば、ビアホールの位置も決めなければなりません。だいたい、使えるスペースは限られているので、そこにどのよう線を収容するかがポイントになります。もしケーブル部が、繰り返し屈曲を受けるのであれば、その部分は片面構造にしなければなりません。そうすると、スペースはさらに厳しくなり、回路のピッチを小さくしなければなりません。
基本層構成の決定、材料の選択
最終的に、片面、両面、多層、というような回路の基本層構成を決めます。また、スルーホール構造、カバーレイ構成、補強板構成なども決めます。合わせて、使用する材料、厚さも決定します。この時、回路全体の層構成が一様であれば、特に問題はありませんが、部分によって大きく異なっているようであれば、境目をどうするか工夫しなければなりません。極端な場合には、回路を分割して製造し、後で接合するという選択肢もありえます。またリジッド・フレックスのような選択肢もありえます。
回路パターンの設計、調整
フレキシブル基板の回路の信頼性、特に機械的強度は回路のパターン形状に依存するところが大きいのです。特に、屈曲する部分は機械的な応力がかかりやすいので、回路のパターンは滑らかで、かつバランスが取れていることが必要です。通常のデジタル回路のように、丸いパッドに細い線を繋いだだけでは、不十分です。部分的にストレスが集中しないように、パッドをティアドロップ(雫状)の形状になだらかな傾斜を付けたり、コーナー部に適当な曲率を付けたりします。また、大電流が流れる可能性がある回路では、導体のパターンを目一杯広げるようにします。 図.ティアドロップ例
再レビュー、コストレビュー
フレキシブル基板の設計では配慮しなければ項目が多いので、一通り設計が終えてから、もう一度全体を見直します。また、フレキシブル基板は形状や構造によって、製造コストや実装の難易度が大幅に違ってくる可能性があるので、総合的な観点で設計を見なおします。
レビューをすると、基本的な設計を変更しなければならない場合もでてきます。その時は、①〜⑤のプロセスを繰り返すことになります。ちょっと複雑な回路になると、一回で完璧な設計ができあがることは少なく、設計し直しを2回、3回と繰り返すことになります。
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