アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

ケーブルとの比較

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前記事の「硬質(リジッド)基板との比較」でも記載しましたが、フレキシブル基板はケーブルに近いものです。ここでは、ケーブルと比較との比較を紹介します。

ケーブルとの比較

 フレキシブル基板の機能の特徴は、プリント基板というよりも、ケーブル(電線)に近いものです。従って、フレキシブル基板を採用するか否かは、ケーブルと比較して決定するケースが多くなります。

 ただ、フレキシブル基板のコストをケーブルと比べれば、まず確実にフレキシブル基板の方が高くなります。ですから、コストが重要視されるようなケースでは、フレキシブル基板は使えないことになります。フレキシブル基板を使ってその価値が期待出来るのは、フレキシブル基板でなければ、目標を達成できないような場合です。

 具体的には、限られたスペースにたくさんの配線を収容しなければならないようなケース、ケーブルが非常に長い屈曲寿命を要求されるような場合になります。

 採用判断の参考のために下の表にフレキシブル基板とケーブルの比較を示します。

機能 フレキシブル基板 ケーブル
汎用性 無い ある
配列 基本的にカスタム設計 標準配列のみ / 並行配列が主体
クロス配線 両面、多層で対応可能 難しい
ピッチ 50μm未満が可能 200μm以上
厚さ 100μm以下 500μm以上
重量 軽い 重い
シールド 可能 可能
屈曲寿命 >1億回 >10万回
誤配線 極めて少ない ありうる
接続方法 多様 限られる
コネクタ 多様 限られる
コスト 高い 安い

表.フレキシブル基板とケーブルとの比較
※数値は一般的なものです。メーカーの能力によって変わってきます。

 表の中では、ひとくくりにしてありますが、ケーブルといっても様々なタイプがあります。単線から始まって、ツイストしたペア線、何本も並行に並べたリボン電線、平角導体を使ったテープ電線など、性能は様々です。また、単線でも、シールド線、同軸ケーブル、さらにはそれを束ねたものがあります。これらを一括して比較するのは乱暴な話ですが、上の表は一般論として言える事をまとめてみました。実際の機器設計の配線においては、改めて個別に比較してみる必要があります。

 実際の機器の配線を考えるに際して、フレキシブル基板は個々にカスタム設計しますから、他の製品に使うことはできません。その代り、組み立てや接続も簡単です。誤配線などありえません。

 一方、ケーブルの場合は、リールに巻いた長尺物を購入して、適当な長さに切って使いますから、導体の数が同じか若干多いのであれば、汎用性があります。ただし、切断、口出し、ハンダ付けなどは個別に行わなければならないので面倒です。

 扱う量が多いのであれば、ケーブルメーカーが端末処理までしてくれますが、そうなるとカスタム設計に近くなるので、コストは上がり、汎用性は無くなってしまいます。

 電子機器の配線にフレキシブル基板を使うか、それともケーブルで間に合わせるか、という判断のボーダーラインは、はっきりしないことが少なく無く、結構悩ましい問題です。

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