硬質基板との違い
フレキシブル基板と硬質(リジッド)基板は、後ろに基板という言葉が付いているので、類似の製品のように見られがちですが、使う立場で考えると、両者はまったく違ったものと言ってよいでしょう。硬質基板の主要目的が、各種電子部品の搭載とその配線であるのに対して、フレキシブル基板はケーブルとして使うのが主目的になってきます。言い換えれば、フレキシブル基板は、硬質基板にケーブルがついたようなものです。ただし、フレキシブル基板には、ケーブル機能だけで、部品搭載機能がないものが結構あります。
フレキシブル基板 | 硬質(リジッド)基板 | |
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使用目的 | 部品搭載 / ケーブル機能 | 部品搭載 |
ベース材料 | プラスチックフィルム / ポリイミド / PETなど | 硬質複合材 / ガラス・エポキシなど |
加工プロセス | フォトリソグラフィ / 化学エッチング | フォトリソグラフィ / 化学エッチング |
出発原材料 | 銅張積層板 | 銅張積層板 |
形状 | 一般的に複雑 | 一般的に単純 |
表面保護 | フィルムラミネーション / レジスト印刷 | レジスト印刷 |
材料(面積)効率 | 低い | 高い |
実装工程の自動化 | 工夫が必要 | 標準化が進んでいる |
コスト | 高い | 低い |
表.フレキシブル基板と硬質(リジッド)基板の比較
基本的な加工プロセスは似ていて、銅張積層板の銅箔を化学エッチングして、回路を形成します。スルーホール構造も同じように作られます。従って、硬質基板を製造する設備があれば、フレキシブル基板を作ることができます。また、フレキシブル基板の製造ラインで、硬質基板を加工することができます。ただし、最近のプリント基板製造ラインは、専門化が進んでいるので、本来のプリント基板製品でないものを流すと、効率や歩留まりは良くありません。
構成上、加工工程上大きく違っているのは、回路表面の保護です。一般的に、硬質基板ではソルダーマスクを印刷しますが、フレキシブル基板の場合は、機械的な保護をしなければならないので、プラスチックフィルムをラミネートします(機械的信頼性があまり重要でない場合は、ソルダーレジスト印刷で間に合わせることもあります)。
フレキシブル基板の形状や構成は、硬質基板に比べて複雑になりがちなので、材料の効率が悪い上に、工程歩留まりは低くなってしまい、単純に比較すれば、単価はかなり高いものになってしまいます。強いて、コストを比較するとすれば、次のように、ケーブルと接続費用を合わせて比べることになります。
一般的にフレキシブル基板は、硬質基板とケーブルを組み合わせた製品よりも高くなります。
・フレキシブル基板 > 硬質基板+ケーブル+接続(コネクタ)
となってしまいます。そのようなわけで、コストを比較すると、なかなかフレキシブル基板を使うことはできなくなってしまいます。フレキシブル基板を採用するためには、スペースが無い、長い屈曲寿命が要求されている、というような、他の方法では得られない性能が要求されているということが必要になります。
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