アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

フレキシブル基板特有の接続技術

%e8%a8%98%e4%ba%8b%e3%82%b5%e3%83%a0%e3%83%8d%e3%82%a4%e3%83%ab08 %e3%83%95%e3%83%ac%e3%82%ad %e3%83%95%e3%83%ac%e3%82%ad%e3%82%b7%e3%83%96%e3%83%ab%e5%9f%ba%e6%9d%bf%e7%89%b9%e6%9c%89%e3%81%ae%e6%8e%a5%e7%b6%9a%e6%8a%80%e8%a1%93

フレキシブル基板(FPC)は、機器内の配線(ケーブル)機能が主体であり、基板の一部にのみ部品を搭載する形が多くなります。このFPCの接続機能を決定するポイントと多種多様な接続技術の概要を紹介します。

リジッド基板との使用目的の違い

 硬質プリント基板(リジッド基板)の主要な機能は、基板上に各種電子部品を実装すること、そして他のケーブルや回路基板と接続することです。一方、フレキシブル基板の場合は、機器内の配線(ケーブル)機能が主体で、部分的に部品を搭載する形が多くなります。

フレキシブル基板の接続機能

 ケーブル機能を持ったフレキシブル基板の端末は、何らかの形で他の回路やデバイスと接続されます。その形態や構成は実に多様で、目的によって適切なものを選択する必要があります。以下に、接続方法を選択する際の主要ポイントを挙げます。

接続方法選択時の5つのポイント

■接続相手は

 フレキシブル基板を、どのような回路や部品に繋ぎ合わせるかによって、接続形態は大きく異なってきます。相手側回路としては、硬質基板、フレキシブル基板、セラミック基板などがあります。その他、液晶パネルのようなモジュールもあります。また、フレキシブル基板上にどのような部品を搭載するかによっても、使われる接続技術はずいぶん違ってきます。部品には、リード部品、表面実装部品、ベアチップなどがあります。

■永久接続か、それとも脱着可能な接続か

 永久接続とは、一旦接続されれば基本的に切り離すことを想定していないもので、はんだ付けや溶接などがこれに当たります。一方、非永久接続とは複数回の脱着が可能な接続で、コネクタを介した接続がこれに当たります。この他中間的な接続方法もあります。

■接続数、接続密度

 接続数は、少ないものは1個から、多いものは千個を越えるものもあります。接続点が多くなってくると、接続に必要なスペースも大きくなりますが、無制限に大きくすることはできないので、接続密度を高めて(接続ピッチを小さくして)、接続に費やすスペースを小さくすることを考慮する必要があります。

■接続抵抗、電流容量

 一般的に、接続点の導体抵抗は、回路の導体抵抗より大きくなります。そこに大きな電流が流れると発熱し、障害の原因となります。また回路の定数なども変わってくる可能性があるため、十分な電流容量を想定して、接続部を設計する必要があります。

■信頼性

 接続の信頼性には、用途によっていろいろな要求が出てきます。例えば、耐熱性、機械的強度、長時間経過後の特性の変化などです。

フレキシブル基板専用の接続技術

 上記のポイントを考慮して選択するフレキシブル基板の接続技術。現在は数多くの接続技術や実装技術が開発され、実用化しています。よく使われるフレキシブル基板特有の接続技術としては次のようなものが挙げられます。

接続、実装技術の紹介

■圧接

 フレキシブル基板を相手の回路に重ね合わせて、上から圧力をかけるだけの簡単な構成です。均一な圧力をかけるための部品を作る必要がありますが、ピッチ200μ未満、100極以上の接続が可能です。加圧力を均一にするために、異方導電性の弾性シートを使う場合もあります。この工法は半永久接続になります。

■はんだ融着

 はんだ融着は、圧接に構成が似ています。重ね合わせる端子部に厚めのはんだメッキを施しておき、上から加熱加圧することによりはんだを溶かしてお互いに融着させます。そのため、フレキシブル基板は通常のはんだ付け温度以上の耐熱性が必要となります。フレキシブル基板の寸法管理がしっかりしていれば、100極以上の接続が可能です。この工法は永久接続です。

■ACF(異方導電性フィルム)

 この接続技術の構成は、はんだ融着に似ていますが、はんだの代わりに、異方導電性の接着フィルムが使われます。プロセス温度が低いので、ピッチ50μ未満の極めて高密度の接続が可能で、液晶パネルのドライバーモジュールの接続などに多用されています。この工法も永久接続です。

■ダイレクト・ボンディング

 フレキシブル基板は、導体の周りから完全に絶縁物を取り除くことができます。その裸の導体の上に、はんだめっきや金めっきを施せば、直接はんだ付けやボンディングができます。このような金属/金属の接続は、非常に高い信頼性が得られます。HDDのヘッドのように長い寿命が要求されるところに使われます。この工法も永久接続です。

■フレキシブル基板用コネクタ

 フレキシブル基板実装の高密度化に伴い、専用のコネクタが開発実用化されてきています。よく使われるものとしては、FFCコネクタ、BTBコネクタ、フライイングコネクタなどがあります。これらの工法は、基本的に非永久接続で、繰り返し脱着ができます。

■ディンプル・コネクション

 フレキシブル基板の端子部にディンプル構造を形成し、相手の回路や部品に接触させる接続方法です。インクジェットプリンターのインクカートリッジなどに多用されています。この工法は非永久接続です。

 フレキシブル基板を使った接続、実装を設計するにあたっては、コストパフォーマンスを考慮して、適切な接続技術を選択することが大切です。本稿で説明した接続方式は、別途ご説明をいたします。

< 前の記事 記事一覧 次の記事 >