フレキシブル基板の長所と短所
フレキシブル基板を使用するには、まず長所と短所を理解する必要があります。ここでは、表でフレキシブル基板の長所と短所を紹介します。
フレキシブル基板の長所と短所
フレキシブル基板には、硬質(リジッド)基板にはない多くの特徴や利点があり、それを活かして用途はどんどん広がっています。しかしながら、フレキシブル基板の長所には、次の表に示されているように、必ず短所が背中合わせになっています。
長所 | 短所 |
---|---|
柔軟性がある | ハンドリングが難しい / 寸法安定性が悪い / 製造歩留まりが低い |
薄くできる | 厚くできない / 機械的強度が低い / 傷つきやすい |
高密度実装 | 汎用実装装置が使えない / 高密度表面実装が難しい / 実装歩留まりが低い |
構造の多様性が大きい | 均一な信頼性が得られない |
材料の多様性が大きい | 個々の整合性を取る必要性 / 接着強度が低い |
様々な接続技術が使える | 標準的な接続技術が使えない / 特別な工夫が必要 |
コネクタが省ける | 回路の分割が難しい |
軽量化に有効 | 重い部品を支えられない |
三次元配線ができる | 設計が難しい / 材料効率が悪くなる |
誤配線を防げる | 一つの欠点でも回路全体が不良に |
長い屈曲寿命 | 小さな欠点が断線を引き起こす |
RTR生産方式が使える | 製造の自動化が難しい |
トータルコストを下げられる | 回路の製造コストが高い |
表.フレキシブル基板の長所と短所
こうして並べてみると、フレキシブル基板は長所よりも、短所の方が多いくらいです。これだけ短所が多いとなると、フレキシブル基板を使ってみようという気力も萎えてしまいそうです。しかしながら、フレキシブル基板の採用決定は、長所と短所を天秤にかけて判断するようなものではありません。必要とする配線が、フレキシブル基板でしか達成できないのであれば、フレキシブル基板を使うしか選択肢はないのです。そして、予想される短所や問題点をいかにして取り除くかを考えます。
典型的な例として、CDD(コンパクトディスクドライブ)の配線を考えて見ましょう。CDDの製品寿命を考えると、磁気ヘッドを先端に搭載したアームは1千万回以上の往復運動が想定されます。1千万回以上の屈曲に耐えられる配線材料となると、ポリイミドフィルムをベースにした片面回路のフレキシブル基板しかありません。したがって、ここではフレキシブル基板の採用が問題なく決まりました。後は、工程の歩留まりを如何に上げるか、実装を容易にするか、トータルのコストを如何に下げるかについて、各メーカーは限りない努力を続けています。 図.各種フレキシブル基板で配線したCDD(コンパクトディスクドライブ)
< 前の記事 | 記事一覧 | 次の記事 > |
---|