基本構造(多層回路)
最近の電子回路は、機能が増えているだけでなく、高速化が進んでいるため、どんどん複雑になってきてます。その結果、両面ビアホール回路の構成では収容しきれず、多層回路を使用する事になる事があります。ここでは、多層回路にした場合の注意点をお伝えします。
多層回路への流れ
最近の電子回路は、機能が増えているだけでなく、高速化が進んでいるので、どんどん複雑になってきていて、とても両面ビアホール回路の構成では収容しきれなくなっていて、プリント基板は多層化が進んでいます。層の間はビアホールで繋ぎますが、層構成により様々なタイプが実用化されています。導体層が20層〜30層になることも珍しくなく、硬質基板やセラミック基板の極端な場合は、50層を越えることもあります。フレキシブル基板はそれほどでもありませんが、航空宇宙用では30層を越えるものもあります。
多層にすると硬くなる
フレキシブル基板を単純に多層化していくと、だんだん硬くなってきます。4層ぐらいならば、曲げることはできますが、繰り返し屈曲はできません。導体層が6層以上になると、もう曲げることもできなくなってしまいます。これでは、フレキシブル基板の特徴である柔軟性が失われてしまいます。
図.典型的な多層フレキシブル基板
部分多層で屈曲性を維持
多層フレキシブル基板に柔軟性を併せ持たせるために工夫されたのが、部分多層の層構成です。たいてい曲げる部分の回路は単純な平行回路ですので、片面か両面の層構成にし、柔軟性を確保します。回路が複雑な部分だけを多層構造にします。このような部分多層のフレキシブル基板の量産ができるようになってから、製造コストがさがり、携帯電話やデジタルカメラなどの携帯機器にたくさん使われるようになりました。
図.実用的な多層フレキシブル基板の積層構造例
製造プロセスは面倒
部分多層のフレキシブル基板の製造工程は、かなり煩雑なもののなってしまいます。製造コストが下がったといっても、単純な多層硬質基板に比べると、まだまだ高価なものになっています。ただ、部分多層構成のフレキシブル基板は、設計の工夫で、製造コストは大幅に変わります。部分多層構成のコストを下げるには、製造プロセスの条件を良く理解して回路設計することが大事です。
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