アットマークエレ:プリント基板制作に関する技術アイデアまとめ

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「片面屈曲回路」と「両面屈曲回路」の設計

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フレキシブル基板には、「片面屈曲回路」と「両面屈曲回路」があります。繰り返しの屈曲に耐えられるのはどちらの回路でしょう?屈曲回路の設計のポイントについてまとめてみました。

1.「片面屈曲回路」の設計

■耐屈曲性が高いのは片面回路

 ディスクドライブなどに使われるフレキシブル基板には、1億回以上の耐屈曲性が要求されますが、これら「繰り返し屈曲」の箇所へ実質的に使えるのは片面の回路構成だけです。基本的に、両面回路や多層回路を繰り返し屈曲することはできません。どうしても屈曲する必要がある場合は、屈曲する部分を片面構造にする必要があります。

■対称の層構成が有利

 フレキシブル基板の屈曲する部分の層構成は、導体を真ん中にして対称形になるのが良いとされています。具体的には、図1に示されているように、銅箔から形成された回路導体の両側に接着剤層があり、その外側にベースフィルムとカバーレイフィルムがある構造です。

01_対称性の良い片面回路例 図1. 対称性の良い片面回路例

 フィルムを対称的にするのはそれほど難しくないのですが、問題になるのはカバーレイの接着剤層です。使用する前の接着剤層は均一ですが、回路の上にラミネートされると、導体の形状に沿って図2のように凹凸ができて対称性が悪くなってしまいます。図1のように対称性の良い構成にするには、ラミネートする際の条件を工夫しなければなりません。また、導体の脇に気泡を巻き込んでラミネートされてしまうと、そこに応力が集中して屈曲寿命に悪影響を及ぼしてしまいます。小さな気泡でも入らないようにしなければなりません。

02_対称性の悪い片面回路例 図2. 対称性の悪い片面回路例

■薄い層構成が有利

 次に、層構成の厚みと屈曲性の関係について触れます。どんな材料でも薄くなれば柔らかくなり、耐屈曲性が良くなります。しかし、いくらでも薄くすれば良いというものではありません。実用上は、銅箔が18ミクロンか12ミクロン、ベースフィルムとカバーレイフィルムは12.5ミクロン、接着剤層は、15〜20ミクロンぐらいがもっともバランスが良いと言われています。ただし、実際の屈曲寿命は、メーカーのラミネート条件によって変わります。

■材料の選択も重要

 一般のフレキシブル基板メーカーでは、銅張積層板とカバーレイフィルムを材料メーカーから購入して加工しています。ところが、これらの銅張積層板の耐屈曲性もメーカーによってかなりの差があり、カバーレイフィルムとの相性も違ってきます。厳しい耐屈曲性が要求されるような場合には、実際に回路を試作した上で性能を評価し、バランスが良い材料の組み合わせを選択することも必要になります。

 なお、導体層は電解銅箔よりも圧延銅箔の方が良いとされていますが、最近では耐屈曲性に優れた材料が実用化されているので、単純に比較することはできなくなっています。

■無接着剤タイプの銅張積層板を使いこなすには

 最近では、接着剤層がない銅張積層板を使うケースも増えています。無接着剤タイプの銅張積層板は、接着剤層がない分だけ薄くなり、一般に耐屈曲性が良くなるとされています。ところが、これに組み合わせて層構成が対称形になるようなカバーレイフィルム材料は実用化されていないのです。実のところ、無接着剤タイプの銅張積層板の柔軟性を活かすには各工場の実績にかかっています。  
 

2.「両面屈曲回路の設計」

■両面回路は繰り返し屈曲を避ける

 先に触れましたように、両面回路は原則として繰り返し屈曲を避けるようにしなければなりません。それは、その層構成が導体を真ん中にした対称形にならないためです。さらには、ビアホール形成のためにめっきされる銅の導体層が硬くてもろいためです。せっかく元の材料に柔軟性のある圧延銅箔を使っても、銅が電気めっきされると電解銅箔以上にもろくなり、耐屈曲性は低下してしまいます。

■折り曲げ部分の回路配置

 両面構成のフレキシブル基板でも、各層の導体回路の配置を重ならないように工夫すれば、ある程度屈曲することができます。図3は、重なり具合によっての耐屈曲性の違いを表したものです。

03_様々な両面回路の回路配置 図3. 様々な両面回路の回路配置

 回路を片側の層に寄せるのが最も好ましく、さらにカバーレイフィルムをかけないようにすると、層構成の対称性が良くなり耐屈曲性は格段に向上します。

 回路を両側の層に配置しなければならない場合でも、両側の回路が重なり合わないように配置します。できれば回路の間に適当なスペースを設けるとよいでしょう。

■絶対に避けるべき回路配置

 両面回路に屈曲部を設けなければならない場合でも、絶対に避けるべき回路配置があります。それは、図4で示されているように片側が電源回路のようなベタパターンで、反対側に微細パターンが形成されるような構成かつ、ベタパターンを内側にして曲げるようなケースです。このような構成で回路を曲げると、微細回路に大きな引っ張り応力がかかることになり、大きな曲げ半径でも、パターンは簡単に破断してしまいます。回路表面をカバーレイフィルムでしっかりと保護しておいてもあまり助けにはなりませんので、屈曲部ではこのような回路配置は避けてください。

絶対に避けるべき回路配置 図4. 絶対に避けるべき回路配置

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