フレキシブル基板実装技術の選択
薄くて柔軟性があり、曲げることができるフレキシブル基板(FPC)。前回、フレキシブル基板にもリジッド基板の実装技術が使えるという話をしました。今回は、種々あるフレキシブル基板の実装技術をどうやって選択するかという点について取り上げます。
フレキシブル基板の実装技術は多様
フレキシブル基板の実装技術、接続技術は実に多様です。図1に示したように、一つのフレキシブル基板に異なるタイプの部品が搭載されたり、接続されたりすることは珍しくありません。
図1. 一枚のフレキシブル基板に異なるタイプの実装技術を適用
適切な実装技術の選択と組み合わせが重要
相手側の部品や回路、接続密度がどうであるか、また繰り返し脱着ができるかどうかなど、さまざまな条件に合わせた実装、接続方法が開発、実用化されています。その中から適切な方法を選択するのですが、複数の技術を組み合わる場合は要注意です。お互いに阻害しないように全体のプロセス設計に配慮しなければなりません。
例えば、ACF(異方導電性フィルム)を使って液晶ディスプレイとフレキシブル基板を接続した後で、はんだリフロープロセスを適用することはできません。はんだ槽の熱でACFや液晶パネルがダメージを受けるためです。
表1に代表的なフレキシブル基板の実装、接続技術を掲げましたのでご参考ください。ただし、実際に選択するに当たっては、必要とされるフレキシブル基板の構成、プロセス条件、使用する環境なども考慮する必要があります。
接続相手 | 脱着可否 | ピッチ | 接続抵抗 | |
---|---|---|---|---|
リード線はんだ付け | リード部品 | 永久接続 | 2.5mm | 小さい |
SMTはんだ付け | SMT部品 | 永久接続 | <1.0mm | 小さい |
COF | ベアチップ | 永久接続 | <0.05mm | 大きい |
ワイヤボンディング | ベアチップ | 永久接続 | <0.1mm | 小さい |
ダイレクトボンド | ベアチップ | 永久接続 | <0.1mm | 小さい |
はんだ融着 | 硬質基板 | 永久接続 | <0.2mm | 小さい |
直接圧接 | 硬質基板 | 半永久接続 | <0.2mm | 小さい |
ゼブラコネクタ | 硬質基板 | 半永久接続 | <0.5mm | 大きい |
カードエッジコネクタ | 硬質基板 | 非永久接続 | 2.5mm | 小さい |
ピンヘッダはんだ付け | 硬質基板 | 永久接続 | 2.5mm | 小さい |
FFCコネクタ | 硬質基板 | 非永久接続 | <0.3mm | 小さい |
BTBコネクタ | 硬質基板 | 非永久接続 | <0.5mm | 小さい |
ディンプルコネクタ | 硬質基板 | 非永久接続 | <1.0mm | 小さい |
フライングコネクタ | フレキ基板 | 非永久接続 | 2.5mm | 小さい |
ACF、ACP接続 | 硬質部品 | 永久接続 | <0.1mm | 大きい |
表1. 代表的なフレキシブル基板の実装、接続技術例
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